障害レースの魅力
中央競馬のレースは、芝の上を走るその名の通り「芝」コースと、砂の上を走る「ダート」コースで行われる競争がポピュラーとなっています。
芝コースでは日本ダービーや天皇賞といったビッグレースが行なわれ、観客席に最も近い外側に設置されていることからも、JRAのメインコースであることがうかがえます。
ダートでも重賞やG1競争が行われ、人気のレースも多くあります。ちなみにアメリカなどではダートレースが主流で、ダートが観客席側のメインコースになっています。
そしてJRAにはもう一つ、根強いファンを多く持つレースがあります。
障害物を飛越しながら競争する「障害レース」です。
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オジュウチョウサンの活躍
最近は、中山グランドジャンプと中山大障害をそれぞれ連覇した障害レース界の絶対王者「オジュウチョウサン」の活躍で、競馬ファン以外の層に対しても障害レースの知名度が飛躍的に上がりました。
最も大きな話題となったのが2018年の暮れのビッグレース「有馬記念(GI)」に挑戦したことでしょう。
障害レースでは「もはや敵なし」の快進撃を続けていたオジュウチョウサンが、2018年7月に平地レースへ電撃参戦。
当初は「勝てない」「無謀」などの否定的な声もありましたが、武豊騎手を背に平地でも2連勝して、ファンもさらに増加。
人気投票の結果、ついに夢の有馬記念出走を叶えたのです。
結果は9着に破れましたが、大健闘と言えるレース内容で、競馬界の「二刀流」の勇姿へ大きな声援が送られました。
障害レースならではの人間ドラマ
「障害物競走」という平地とは全く異なったレース形態もさることながら、個性的なファンファーレや「踏み切ってジャンプ!」でお馴染みの名物実況など、障害レースにはたくさんの魅力が詰まっています。
中でも多くのファンの心を惹きつけているのが、障害レースならではの「人間ドラマ」です。
障害レースの競走馬は、元々平地を走っていたものの結果を出せず、または活躍したものの成績が落ち込んだために障害へと転向するケースがほとんどです。
しかし、平地を走っていたサラブレットが、すぐに障害物を飛越できるようになるわけではありません。
調教により、障害レースに必要な技術を教えていくのですが、様々な担当者によって行われることが多い平地競走馬の調教とは異なり、障害馬の場合、基本的に主戦ジョッキーが一から付きっきりで教えていき、障害レースに出走できるまで育て上げていくのです。
平地で戦えない馬を、障害レースの場でなんとか再起させたいという関係者の強い想いがあるのです。
また、障害レースは落馬も多いため、馬にとっても騎手にとってもリスクが高いレースです。
平地レースでは見ることのできない「人と馬との固い絆」が垣間見れるのも、障害レースの魅力のひとつと言えるでしょう。
意外に予想が簡単?!
落馬などのアクシデントも多く、馬券予想が難しいというイメージの障害レースですが、意外にも「障害レースは予想が簡単」という声が非常に多いです。
レース数や登録馬が少ないため、力関係が明確にわかりやすいというのが理由かもしれません。
そして、障害レースには平地レースとは違った生観戦の迫力があります。
人馬一体で障害物を上手に飛越する姿に、自然と拍手を送っていることでしょう。
近年のオジュウチョウサン人気をきっかけに、障害レースを観戦してみてはいかがでしょうか?